診療科・部門

脳神経内科

脳神経内科の特色

2025年4月より、脳神経内科がスタートしました。
脳神経内科は脳や脊髄、神経、筋肉の病気をみる内科です。
体を動かしたり、感じたりする事や、考えたり覚えたりすることが上手にできなくなったときにこのような病気を疑います。症状としてはしびれやめまい、うまく力がはいらない、歩きにくい、ふらつく、つっぱる、ひきつけ、むせ、しゃべりにくい、ものが二重にみえる、頭痛、勝手に手足や体が動いてしまう、ものわすれ、意識障害などたくさんあります(日本神経学会ホームページから)。

診療内容

脳神経内科では、①脳卒中、②神経救急、③神経難病、④その他の一般的神経疾患を診療します。
脳卒中には、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血が含まれます。

1 脳卒中

脳梗塞

脳血管が血栓により閉塞し、脳に血が流れなくなり、脳が壊死してしまう状態です。発症早期の場合は、tPA静注療法*や脳血栓回収療法*の適応を判断し、治療を行います。その後、脳梗塞病型(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他の脳梗塞、原因不明の脳梗塞)を診断し、病態に応じた再発予防を行います。
神経症状が一時的に出現してすぐに回復するものを一過性脳虚血発作と呼びます。これは脳梗塞の前触れの症状であり、放置すると脳梗塞に至って後遺症を残す可能性もありますので、脳梗塞に準じた検査および治療を速やかに開始します。

*tPA静注療法
血栓溶解薬を点滴から投与し、血栓を溶解する方法です。
発症4.5時間以内が対象となります。

*脳血栓回収療法
ステント型血栓回収機器や吸引カテーテルにより、脳で詰まっている血栓を取り除く方法です。
原則、発症から6時間以内が適応です。ただし、6~24時間でも画像検査で脳梗塞に至っていない虚血領域が存在していると判断された場合にも適応となります。

tPA静注療法、脳血栓回収療法とも、閉塞血管が再開通することにより、症状の改善が期待できます。一方、合併症として出血があり、症状が悪化する恐れもあります。複数の研究により、有効性が不利益を上回ることが示されており、ガイドラインでは行うべき治療として推奨されています。

脳出血

脳実質内で血管が破れ、脳を障害する状態です。緊急手術が必要な場合は、脳神経外科で対応となります。手術適応がない場合は、血圧コントロール、リハビリテーションが主な治療となります。脳出血のほとんどは高血圧症が原因です。高血圧症は生活習慣病によるものが大多数ですが、内分泌疾患に伴う二次性高血圧症がみつかることもあります。また、その他に脳出血の原因となる脳血管奇形が関与している場合があります。MRA、CTA、カテーテル検査などで血管の評価を行います

脳卒中(脳梗塞・脳出血)の急性期治療は、2週間程度です。その後は、リハビリテーションが中心となりますので、リハビリテーション病院への転院を進めていきます。

2 神経救急

突然、何らかの神経症状を発症し、救急搬送されてきた患者さんの中には、脳卒中以外の疾患も含まれています。脳神経内科では、髄膜炎や脳炎・脳症、てんかん、ギランバレー症候群などの神経救急に対応していきます。

3 神経難病

数年かけて徐々に動作が鈍くなる、筋力が衰える、歩きにくくなる、物が飲み込みにくくなる、このような症状がみられた場合、神経難病の可能性があります。パーキンソン病など比較的頻度の高い神経変性疾患から、多発性硬化症・視神経脊髄炎・重症筋無力症・慢性炎症性脱髄性多発神経炎などの神経免疫疾患、ハンチントン病などの遺伝性疾患といったように原因は様々で、すぐに診断に時間を要する場合もあります。

これらの疾患も近年は医学の進歩が目覚ましく、パーキンソン病に対する新規治療や、神経免疫疾患に対する生物学的製剤、遺伝性疾患に対しての遺伝子治療など様々な薬剤が使用可能となっており、適切な治療により生活の質が保たれるようになってきています。

一方、未だ有効な治療がなく、症状とつきあっていかなければならない疾患もあります。ソーシャルワーカーと協力し、介護保険、指定難病、身体障害者手帳の申請など、社会福祉制度を導入し、少しでも過ごしやすく生活できるようにサポートいたします。

4 その他

認知症、頭痛、めまいなど、数カ月~数年に及ぶ慢性的な症状についても診療します。外来で原因精査を行い、症状のコントロールを行います。
認知症に関しては、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症などを鑑別します。また、正常圧水頭症など治療によって改善する認知症もありますので、診断を行い、必要に応じて脳神経外科に治療を依頼します。

頭痛に関しては、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、三叉神経痛などを鑑別します。特に片頭痛においては、発作時の治療だけでなく、最近行われるようになった抗CGRP製剤の皮下注射による再発予防も行っていきます。

めまいには、脳を原因とする中枢性めまい、耳の奥にある前庭や三半規管を原因とする末梢性めまいがあります。末梢性めまいの場合は、耳鼻咽喉科に治療を依頼することもあります。

スタッフ紹介

山本 司郎
やまもと しろう
役職
脳神経内科部長
卒業
平成11年卒
専門分野
脳卒中、神経内科、脳血管内治療
資格
清水 幹人
しみず みきと
役職
脳神経内科医長
卒業
平成22年卒
専門分野
神経内科、神経免疫疾患、神経難病
資格

外来担当医表

 
午後 2診 小泉【神経】
(完全予約制)
小泉【神経】
(完全予約制)
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