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宗教的輸血拒否に関するガイドライン

宗教的輸血拒否に関するガイドライン 第2版

当ガイドライン初版は、宗教的輸血拒否に関する合同委員会報告を参考に、平成22年12月1日付で作成された。この度、下記の「輸血拒否患者への対応」に関する倫理委員会報告(平成24年4月17日付)を受け、手術(処置・検査)説明書の改訂がなされたことも踏まえて、当ガイドライン改訂第2版を作成した。

「輸血拒否患者への対応」に関する倫理委員会報告(平成24年4月17日付)

兵庫県立西宮病院では、医学的見地から輸血が避け得ない状況下においては、輸血をしての救命治療を最優先すべきである。

ア 医学的に判断して輸血を避け得ない状況で無輸血治療を続けることは、医師の使命に反することである。

イ 患者等が輸血を拒否される場合、その意思を尊重しつつも、病院としては輸血をしての救命治療に全力を尽くすよう努めるべきである。

手術(処置・検査)説明書の改訂部分(平成24年5月24日時点)

本手術に際しては、無輸血等の患者さんの意思を尊重するよう努めますが、医療上必要であると判断される場合には、救命を医師としての使命と考え、輸血等の採り得べき方法を行わせていただきます。

県立西宮病院における輸血実施に関する基本方針

当院での治療を希望する患者で輸血治療が必要となる可能性がある患者については、輸血療法の必要性及び無輸血を希望される場合、当院では相対的無輸血の方針である(患者の意思を尊重しつつも、医学的見地から輸血が避け得ない状況下においては、輸血をしての救命治療を最優先する)ことを患者(及び家族、特に20歳未満の場合の親権者)に説明し同意を得るよう努める。患者あるいは家族(特に20歳未満の場合の親権者)から輸血の同意を得られない場合は、他院での治療を薦める。患者の状態等により転院出来ない場合について、1)18歳以上 2)15歳以上18歳未満 3)15歳未満の場合に分けて、医療に関する判断能力と親権者の態度に応じた対応を整理した(図1参照)。年齢区切りについては、18歳は、児童福祉法第4条の「児童」の定義、15歳は、民法第797条の代諾養子、民法第961条の遺言能力、「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針による臓器提供意思を斟酌して定めた。
患者あるいは家族が無輸血時の「免責証明書」を提出した場合においても、医師は署名せず、上記のように当院では相対的無輸血の方針であることを説明し同意を得るよう努める。
なお、患者あるいは家族(特に20歳未満の場合の親権者)の誰からも輸血に関して同意が得られていない状況においても、医学的に判断して輸血を避け得ない状態に至っていると判断される場合(原則、複数の医師により判断)には、救命を医師の使命と考え、輸血をしての救命治療に全力を尽くすよう努める。

  1. 当事者が18 歳以上で医療に関する判断能力がある人の場合(なお、医療に関する判断能力は主治医を含めた複数の医師によって評価する)
    (1)当事者が輸血に同意する場合→当事者から輸血同意書をもらう。
    (2)当事者が輸血を拒否する場合→診療科側は、当事者に早めに転院を勧告する。
  2. 当事者が18 歳未満、または医療に関する判断能力がないと判断される場合(1)当事者が15 歳以上で医療に関する判断能力がある場合① 親権者は輸血を拒否するが、当事者が輸血を希望する場合
    →当事者から輸血同意書をもらう。
    ② 親権者は輸血を希望するが、当事者が輸血を拒否する場合
    →親権者から輸血同意書をもらう。
    ③ 親権者と当事者の両者が輸血拒否する場合
    →診療科側は、当事者・親権者に早めに転院を勧告する。
    (2)当事者が15 歳未満、または医療に関する判断能力がない場合① 親権者の双方が拒否する場合→親権者の同意が全く得られず、むしろ治療行為が阻害されるような状況においては、児童相談所に虐待通告し、児童相談所で一時保護の上、児童相談所から親権喪失を申し立て、あわせて親権者の職務停止の処分を受け、親権代行者から輸血同意書をもらう。② 親権者の一方が輸血に同意し、他方が拒否する場合
    →輸血を希望する親権者から輸血同意書をもらう。

輸血同意書のフローチャート

当事者と親権者が輸血同意、拒否の場合に診療科側が行うべき手順のフローチャートを図1に示す。

図1.未成年者における輸血同意と拒否のフローチャート

輸血療法とインフォームド・コンセント

「輸血療法の実施に関する指針(改定版)」及び「血液製剤の使用指針(改定版)」
(厚生労働省、平成17年9月6日付、薬食発第0906002号、医薬食品局長通知)より

血液製剤の有効性及び安全性その他当該製品の適正な使用のために必要な事項について、患者またはその家族に対し、適切かつ十分な説明を行い、その了解(インフォームド・コンセント)を得るように努めなければならない。さらに輸血による危険性と治療効果との比較考量に際し、輸血療法には一定のリスクを伴うことから、リスクを上回る効果が期待されるかどうかを十分に衝量し、適応を決めること。輸血量は効果が得られる最小限にとどめ、過剰な投与は避ける。また、他の薬剤の投与によって治療が可能な場合には、輸血は極力避けて臨床症状の改善を図ること。さらに、説明と同意(インフォームド・コンセント)として、患者及び、又は、その家族が理解できる言葉で、輸血療法にかかわる以下の項目

  1. 輸血療法の必要性
  2. 使用する血液製剤の種類と使用量
  3. 輸血に伴うリスク
  4. 副作用・感染症救済制度と給付の条件
  5. 自己血輸血の選択肢
  6. 感染症検査と検体保管
  7. 投与記録の保管と遡及調査時の使用
  8. その他、輸血療法の注意点

を十分説明し、同意を得た上で同意書を作成し、一部は患者に渡し、一部は診療録に添付し、電子カルテに適切に記録を保管する。輸血の同意が得られない場合、基本的に輸血をしてはならない。